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本記事で得られる知識
当記事では、ネットワークビジネスの報酬システムを構成する原理のひとつであるバイナリーについて解説します。
この記事はこんな方向けです。
この記事を理解するためには、制限幅ツリーの構造に関する体系的な理解力がある方向けの記事となります。
バイナリーの解説
バイナリーは制限幅ツリーに限定され、レベル単位の2系列にてポジショニングをしていく原理です。
レベル1の2人を筆頭にすると、左グループと右グループに分けて合計ポイントを毎回算出します。
この左右のグループのポイントの比率が一般的には1:1になるように差し引かれて(会社によっては比率が違うところもある)、その片側のグループのポイントに対してボーナス率を掛けて報酬額を決定します。
ねずみ講と間違われやすい構図をしていますが、近年では外資系MLMのほとんど入り口にバイナリーを採用しているほど、MLM企業側からもデイィストリビューターにとっても、入り口のハードルが低いシステムと言えます。
図1はバイナリーのツリーを表現したものです。バイナリーではLV1にいる2人を系列として2つのグループに分けて、左右の売上のバランスで報酬金額を決定します。
図1では縦線を入れていますが、これで左グループと右グループのポイントの比率で計算するので、上記の図が典型的なツリーの表現の仕方になります。
ポジショニング
バイナリーを採用するMLM企業の報酬システムでは、ポジショニングについてはオートポジショニングと任意ポジショニングの2種類があります。
オートポジショニングは文字通り、会員登録が済むとMLM企業側で規則にもとづいて自動的に配置されるもので、基本的にはきれいにうまるような配置になります。
図1-1のバイナリーはまさにオートポジショニングにより、自動的に規則正しくきれいに配置された状態です。
それに対して、図1-2は任意ポジショニングの一例です。直接スポンサーした人が配置を決められます。ただ唯一ルールがあって、誰かの直下にしか配置できません。
退会した結果として間が空いてしまう例外はありますが、メンバーを通り越して配置誰もいない空のポジションの直下を指定して配置することはできません。
図1-2の任意ポジショニングでは、メンバーが自らの戦略で配置をするので、空席のポジションがところどころに現れます。それでもあくまで左右グループのポイントの比率でボーナスが決まるので、空きがあるところはあまり重要ではありません。
図1-3は、バイナリーを採用するMLM企業が報酬システムを図で表す典型の図で、組織図としてのツリーではなく「左右のポイントの大きさ」を反映したツリー表現と言えます。基本的には図1-1、図1-2のツリーの配置構造と一緒と考えてください。
1:1の比率で起こる片伸び
バイナリーは必ず左右グループのポイントの比率に応じた売上額を基準にボーナス額を決定します。一度ボーナスが決定すると、その分の売上額を左右のグループから差し引いて、また次の月・週で合計売上を集計してボーナス額を決定していきます。
1:1の比率で決まることが典型的なのですが、必ず左右どちらかのグループのポイントのほうが溜まりやすく、図1-4のように片方のポイントだけ伸びてしまう状態になります。
片方だけ伸びてしまうのは伸びる方のメンバーの活動やリピートが活発なためで、差し引くのが左右1:1のため、左右の強さが逆転することはなかなか難しく、これがバイナリーの欠点となっています。
従って、図1右下のような片伸び状態の図を用いるのも業界では一般的です。
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ボーナスの計算例
図1と同じツリー配置にてボーナスの計算をしてみます。ツリー上に配置されているメンバー全員が1万円の商品を買った場合のボーナス額を計算してみます(図2-1)。
前提はボーナス率20%で、サイクルの比率は1:1、週払いとします。
全員がリピートをすると、左グループに4人、右グループに6人いますので、1万円の購入をすると左の売上合計は4万円、右グループの売上合計は6万円となります。
サイクル比率は1:1ですので、1:1が成立する4万円がサイクルの計算対象になります。
そしてこの片方のグループ4万円に20%のボーナス率を乗じた8,000円がボーナス額になります(図2-3)。
報酬が確定するとボーナス確定売上の分の左右の4万円が消え、右グループの6万円が余ることになり、これが翌週へ繰り越されます(図2-4)。
ただ、繰り越される条件として、月末確定の場合は月に一度、週ごとの確定の場合は4週間に1度と、一定金額の商品購入を定期的に行うことで、この繰越をする権利が与えられていることがほとんどのため、定期購入を見逃すと、6万円は繰り越されずに消滅するのが一般的となっています。
バイナリーは金額で上限設定
バイナリーは1つのポジションごとに週払い設定なら週給、月払い設定なら月収あたりの最大支払い金額を設定しています。
層は関係なくあくまで「最大報酬金額」という「額」で、ネズミ講にならないように設定しています。
最大還元率の計算の仕方
バイナリーは「やること」と「報酬の計算の仕方」については、比較的説明しやすいものです。
しかし、実際に1回の売上で吐き出されるボーナスの原資の計算は非常に複雑です。
EXCELなどの表計算で報酬がマックスになるレベルまで、図1-1のようにきれいに人数が全て当てはまった場合に、各レベルにいるメンバーの報酬金額を計算し、これの合計値をもって還元率を計算します。
これについては、応用知識として別の機会を設けて詳しく解説していきたいと思います。
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