縁故募集(えんこぼしゅう)

分類 : 基本用語

解説

縁故募集とは、MLM企業が正式な業務開始を行う前の段階、特に報酬システム体系が画一された早い段階で、非公式にツリー上部を確保するために行われる会員募集のこと。

基本的にはマスターディストリビューターを会社単位のツリーのトップに迎えて、事業を開始することになるが、このマスター自体がMLMの経験者であることは、その後の展開のためには必須項目となり、会社内の身内を中心に上部を固め、その後は有力な経験者を中心に声がかかることが少なくない。

どれぐらい早期のタイミングかは、会社によって異なるが、よく行われるグランドオープンよりは確実に早く、そしてプレオープンよりも早いことが多い。

外資系の場合はまだ日本法人が設立される前の段階から、本国本社の経営層からの情報を聞いて登録するメンバーがいるほど、タイミングが早い場合がある。

早い時期でも登録するだけでは1円も稼げないが、優位性は非常に高い

会員側の視点から見ると、ツリー(ピラミッド)の上層部に配置される可能性がイメージできるので、チャンスと思って登録する方が非常に多いのは周知の事実である。

しかし、ネットワークビジネスでは早期に登録するだけでは、稼ぐことは全くできない。縁故募集時期に登録する者が成功する大前提は「早期に登録して会員を増やす」ことであり、会員を増やさないとどんなに早く登録しても収入は1円も入らない。

先に会員登録だけをして活動しないメンバーと比べると、後に会員登録して活発な活動の結果組織を拡大するほうが報酬が高いという公平性があるが、縁故募集で登録して更に会員を増やしていけば、ダウンラインに有力メンバーが配置される可能性が少なくないため、縁故募集のタイミングによっては早い者勝ちが証明されることになる。

縁故募集の情報自体は日本のMLMに精通してる経験者、既に他社で上位タイトルを獲得して大きな組織を持っている経験者、もしくは本国で情報を聞きつけた人など、能動的に情報を得る機会がほとんどない。

企業側が率先して縁故募集を行う本当の目的

ここで重要なのは縁故募集で一番恩恵を受けるのは紛れもなく主宰企業側であるということ。

なぜかというと、縁故募集後の正式事業開始時の登録会員数によって、それまで投じた開発資金と開業資金を確実に回収する目処がたつため。

例えば1ヶ月1万円(会社側の利益3000円)の商品を取り扱うネットワークビジネス主宰企業を展開予定で、商品の開発費用や開業資金などで仮に1億円の費用がかかるとする(実際にかかったのではなくかかる予定も含む)。

開業時限定で特権や恩恵が受けられる3万円の限定セット(会社側の利益は3万のうち1万円とする)を用意して販売し、実際の商品の発送は縁故募集期間後の正式事業開始となってからとする。

こうすると、商品を生産することなく、初回セットの3万円の売上だけ先に回収できることがわかる。

ここで、1億円の開業資金と開発費用、商品の生産費用を開業初月で一括で回収したいとすると、

1億円 ÷ 1万円/個あたり利益  = 1万人

という数字が出てくる。要するに、この3万円のセットを購入する会員が1万人になってから正式開業すれば(それまではひたすら会員だけ募集する縁故募集期間)、その時点で1億円の開業資金と開発費用を回収でき、あとは2ヶ月目から1万人いる会員の1万円の定期購入からは、確実に1個あたり3000円、つまり事業スタート時の会員1万人からのリピート売上1億円/月のうち、3000万円/月は確実に会社側が確保できる利益となる。

どうしても商品開発資金は先にかかってしまうが、それでも銀行の融資はこちらの事業計画をもってすれば、確実に回収できるわけなので、融資も受けやすい。

つまり、縁故募集期間はネットワークビジネス主宰企業が開業するためには必要不可欠な期間であり、これをなしにビジネスを行おうとすると、莫大な資金を事前に用意しなければいけないことがわかる。

ただし、この話をした上で開業自体しなければ、ネズミ講であり巨額な詐欺事件になることは明々白々なので、注意が必要。悪用は厳禁。

勘違いしている人が多いが、ドナルド・トランプやビル・ゲイツなどが、ネットワークビジネスがビジネスとしていかに素晴らしいと言っているのは、「会員としてのネットワークビジネス」に対して称賛しているのではなく、このようにあくまで「ネットワークビジネス主宰企業の経営」に対して言っているのはこのためである。