ネットワークビジネス(MLM)報酬プラン(システム)の最大還元率・実質還元率の注意点

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本記事で得られる知識

当記事では、ネットワークビジネス(マルチ商法)の報酬システムの還元率について、図と計算例を交えて解説します。

この記事はこんな方向けです。

当記事は、ネットワークビジネスに関して無知な方、初心者の方向けの記事になります。

更に、ネットワークビジネス、MLM、マルチ商法、マルチまがい商法、ねずみ講、連鎖販売取引といった名前を聞いたり、そういうものに家族や友人が参加してほしくない方も、事前の予備知識として読んでおくことをお勧めします。

還元率とは何か

最大還元率

最大還元率は報酬システム上において、最大にボーナスが発生するような理想的な配置がされているツリーの中で、全員が最高タイトルであることを前提とした計算上の還元率となります。

報酬システム上や概要書面で記載のある還元率というと、ここを指します。

最大還元率についてディストリビューターが注意しなければいけないのは、あくまで「理想的な配置のツリーで全員が最高タイトルの場合」というありえないシチュエーションで組まれているという点です。

ディストリビューターとして、この理論値をあくまで利用するには、「全員が最高タイトル」なのではなく、「理想的な配置」は前提のままにしても、「タイトル別の最高タイトル」を計算する必要があります。

それらを計算することで、次に計算する実質還元率を予測することがおおよそ可能です。

実質還元率

実質還元率は、最大還元率の理論値に対して、実際にディストリビューターに支払われている還元率を指します。

最大還元率はあくまで最高の配置で全員が最高タイトルの元で計算されたものをMLM企業側が謳いますので(謳っていても事実を謳っている)、実際にビジネスとして参加する我々としては、せめてタイトル別且つボーナス別に最高還元率を計算することで、そこからおおよその実質還元率を推測することができます。

ただ、この実質還元率というのは、MLM企業側が公表していません。例えば、ニュースキンなんかはニューヨーク証券取引所に上場していますので、財務諸表から数字を導き出すことができますが、非上場の企業の場合は間違いなく推測になります。

実質還元率を推測で導き出した後に、最大還元率と実質還元率がどれだけ差があるのかを見て、MLM企業側の意図を判断することになります。

最大還元率と実質還元率の差が大きければ大きいほど、MLM企業側が儲けを取っていることになりますので、あまりいい印象は受けません。

あくまで絶対数というのよりも、2つの「差」で判断するのが望ましいでしょう。

還元率を理解する上での注意点

当サイトでは各MLM企業の報酬システムについて、ボーナスごとに解説もしていますし、それぞれの還元率も記載するようにしているので、計算方法については体系と慣れで感覚を掴んでもらえたらと思いますが、ここでは結構多くの方が誤解している点や注意点などを列挙してみたいと思います。

対売上高還元率と対ポイント還元率を理解する

MLM企業側が謳う最高還元率というのはあくまでポイントを基準に計算されます。

このポイントが厄介で、商品ごとにきれいに同じレートで設定されておらずずれることがほぼ100%です。

MLM企業の商材に限らず、世界中で商品を売っている全ての業者に当てはまりますが、基本的に「原価構成」は商品1つ1つによって違いますよね。

この商品ごと違う仕入原価・製造原価を同じレートに調整するために、レートのズレが生じさせる形です。外資系MLM企業に至っては、ここに仕入時に為替レートも関係してきます。

ただ、幾度となく説明していますが、この調整については、MLM企業側が多く発生するようなレートにはなりませんので、このことを知らないで後で知ったとなると、人によっては「騙された」と感じる人も少なくないでしょう。

単純にきちんとした理由があってのことなので、先に説明をすればいいのですが、概要書面にも報酬システムの説明用の資料にもこのことが書かれているところも見たことがありません。

つまり、ディストリビューターだけでなくMLM企業側もこのことについて無頓着なのか、知ってて後ろめたいから言わないのか、あまり重要だとは感じていない印象があります。

ここからは、何が問題なのかをケーススタディを使って説明していきます。

ディストリビューター側の視点で望む形

図1

図1は3つの商品について付与ポイントと商品価格から出される還元率を表したものです。

ここではボーナスが1つしかないとして、そのボーナス率を50%(=最大還元率)と仮定して説明します。

商品には1P = 100円の設定レートによってポイントが付与されており、ボーナスとして受け取るときも換金レートが1P=100円として計算してボーナス額が決定します。

例えば商品Bなら8,000円の価格に対して1P=100円のレートにて、80Pが付与されており、これがボーナスとして支払われる時は、再度設定レート1P=100円で50%の4,000円がボーナス額として計算されることになります。

この回りくどい換金作業は以下の場合に必要になるので、以下の説明とともに何度も比較してみるとその違いが理解できるかと思います。

尚、ポイント設定時のレートも支払い時のレートもどちらも1P=100円なので、対ポイント最高還元率も対売上最高還元率も共に50%設定のままということで、差は0%です。

差が0%というのは理想です。概要書面にかかれている内容と、ディストリビューターや新規見込み客がリクルートされる際の説明で恐らく考えるであろう内容(普通価格で取るでしょ)が合致しているからです。
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設定時レートのズレを理解する

図2

図2では各商品の仕入原価や販管費などの原価率の違いから、商品ごとにポイント設定レートを変動させたものです。

同じく便宜上1つのボーナスしか用意されておらずボーナス率が50%と仮定して説明します。

設定されたポイントがズレていることで、報酬用に確保する分が換金レート1P=100円で当て込むと、図1の場合に比べてAが5,000円→4,000円、Bが4,000円→3,500円、Cが2,500円→2250円と、設定レートが調整されることで、額が減っていることがわかります。

これを還元率に当て込みますと、対ポイントボーナス率(=対ポイント最大還元率)は3つの商品共に50%で代わりありません。

しかし、これを対価格ボーナス率(=対価格最大還元率)で換算すると、レートがズレているため対ポイントボーナス率に対して、率が下がっていることがわかります。

これにより、実質的なボーナス率は表記されている%よりも少ないことがわかります。

換金時レートのズレを理解する

図3

更に、換金レート自体も為替の影響などにより調整されている設定にしたものが図3となります。

設定時レートは図2と同じですが、報酬支払時の換金レートが変動しています。

為替の影響を設定して少し高めに設定はしてみましたが、それでも対ポイントボーナス率に対して、対商品価格(対売上高)ボーナス率との差が0にはなっていたいことがわかります。

このようにボーナス率を見て自分の収益シミュレーションを立てる時には注意が必要です。

特に、このズレについては一度でも会社員や自分で事業を行っている方なら容易に気づく内容ですので、これに気づかない方は特にシミュレーション時に注意です。

甘い言葉に誘われて後になって騙されたと思って、ここについては残念ながら計算すればすぐ分かることですし、事業者としては当然知ってかないと赤字経営しているのと同じですので、これは自己責任範疇と言える内容です。

知っておかないと騙された感は否めない

これは人によっては騙しと捉える人もいるかもしれませんが、MLM企業の多くは商品ごとに「円」単位ではない「ポイント」的なものを設けて、このポイントを元に計算をしています。

愛用者としてならば、「円」単位のみで事は済みます。

しかし、ディストリビューターとしては、この「円→ポイント」と「ポイント→円」の換金レートを理解しないと、いくら自己責任とはいえ、いざ初めて知ったとなると騙された感覚がまします。

というのは、例えばですが「100円→100ポイント」「100ポイント→100円」と同じ換金率だったらいいのですが、「ズレてる」、、、、というより「ズラしている」からです。

それもディストリビューターにとって優位なズレ方ではなく、MLM企業側にとって有利なずらし方です。

まずMLM企業側が不利になるレート設定にはしません。会計的な目的や戦略的な目的を含めてあえて意図的に設定しているはずですので、注意しましょう。
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